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「六人の会」ちらし相棒ノブりんとともに、縁切り神社として有名な東山安井神社に行った帰り、めったに歩かない祇園界隈でふと目に止まったチラシがありました。
『六人の会 in 南座』。
「 おもしろそうやん。行ってみる?」これも何かの縁。
そう、これが私たちと落語の、初めての出会いでした。
まさかこんなことになるなんて。

いや、結果からお伝えしましょう。落語最高!
落語って正直、眠いし古くっさいと思ってたんやんか。テレビで放映されていてもすぐチャンネル変えちゃうし、私たちの住む関西では噺家さんは皆、タレントとしてメディアに登場することがほとんどで、その誰もの落語を見たことがなかったし。見る必要も無いと思っていた。もちろん彼らもタレントとして十二分におもしろかったから。

そしてこれまでお笑いと言えば私きみ天、上方漫才以外は認めていなかったのですが(何様!)、今回このような観劇の機会があって本当に良かった。しつこいですが落語最高!合言葉は落語最高!
今まで見逃していた落語の魅力を十二分にお伝えできれば、これ幸いでございます。
2004年9月10日、歌舞伎でお馴染みの「京都南座」にて落語『六人の会』が開催されました。落語会のプリンス(今はもう大御所よね)”春風亭小朝”を筆頭に、話題の噺家六人が一同に会しての、豪華落語会です。その他のメンバーは下方参照。マジ、豪華よ。
私とノブりんとそして、お誘いに快く参戦の意を表明してくださったFさんと、女三人での初落語観劇でっす!!

落語はおろか、南座内部への潜入も初の私たち。
Fさんは以前に松竹座を経験しておられますので慣れた感じで入り口やらロビーやらの写真をパチリパチリ。でも私とノブりんはあまりのレトロ感に圧倒されて初めからテンション上がりっぱなしでした。

「こんな階段なんや!」「なに?このシャンデリア(?)」
喫茶コーナーのディスプレイはお決まりのクリームソーダーでレトロ感満載やし、いたるところにLUI VITTONみたいなマーク(?)もいっぱいあって、洋風のハイカラなイメージと、歌舞伎独特というのか"格子天井"やもちろんあの客席の真ん中を貫いている長い廊下もあって、この和洋折衷感はてっきり、明治時代にでも建築されたからか?なんて思ってたら1615〜1623年が発祥とされているらしいやん。すげぇ。江戸時代。阿国やんね、阿国。ま、今の内装になったのはさすがに近代でしょうけれど。
http://www.shochiku.co.jp/play/index.html
私たちは三階席の一番前。 すごい急なの。
ここはその昔、私の友人がSMAP観劇の折に身を乗り出して、草なぎくんから「危ないよ。」と言われた場所。いや、言われたと思い込んでいる場所。
サイン帳マン一番前なので、二階や一階席の様子もよく見えます。
とその時、第一村人発見級の衝撃!
パラパラとサイン帖をめくる男子、推定32歳・独身。
すごい数の噺家さんのサインを集めている模様。私たちは興味深々。そしてFさんは激写に成功です。欲しいわ、このサイン帖。ちなみに"かつら南光"と書かれていました。
うらやましかぁ〜。
そして開始までしばし、三人で雑談。
「小朝って昔、フェロモン出てたよな。」とノブりん。
「は?いや、そりゃプリンスって言われてたけど(ほんまに言われてたんか?記憶あやふや)、フェロモンは出てなかったやろ。ね?Fさん。」
「確かにすごい人気はあったよね。でもねぇ〜...。」

ノブりんは若干小学生にして、小朝のフェロモン(いや、決して出てはいなかったと思うが。)に気づいていたらしい。そりゃぁちょっとオマセすぎるんちゃう?ちなみに小朝の奥さんとノッコはそっくりやね。
さて、開演。
あ、本日の"六人"は以下のラインナップでございます。
皆さんはどの噺家さんがお好みですか?

宮戸川 柳家花緑
四段目 林家こぶ平
芝浜 春風亭小朝
仲入
権助魚 春風亭昇太
千両みかん 立川志の輔
子は鎹 笑福亭鶴瓶

んじゃ、それぞれの感想いってみよ!
南座外観
南座を見上げる
ロビー
ロビーのシャンデリア
格子天井
優美な格子天井
文様
文様いろいろ
会場
三階からの会場風景
お寿司
お弁当販売
レモンスカッシュ。コーラ。クリームソーダ。
喫茶コーナー
お土産
お土産コーナー
柳家花緑「宮戸川」 柳家花緑 
本日一番の若手、御歳33歳。若い女性に大人気らしいっすよ。
そして言わずとしれた人間国宝、故柳家小さん師匠のお孫さんであります。
いわゆるサラブレッド。
小さん師匠からは「芸は人なり」という教えを受け継いではって、お味噌汁の飲み方を教えてもらったそう。ここで会場ドッ!。良かった、私もわかったよ。
小さん師匠といえばお味噌汁のCMやもんね。

落語の内容は恋愛モノでした。気の弱い男性が気の強い女性に、いろいろあって押し切られて夫婦になる、っていうような内容。落語に出てくる女性はたいてい気が強いらしい。

今回登場する女性の名前が"お花さん"。男子の名前は忘れちゃったけど、オチは「・・・こうして今の宮川大助・花子のご両人が誕生しました。」みたいな感じやったな。関西にあわせてのオチ選択だったのでしょう。古典落語でもオチって変わるんやって、そのときの客席の雰囲気とかに合わせて。勉強になったわ。

一つ気になったのは、江戸弁っていうのかしら?「・・・するってぇと、何かい?」みたいなん。
私たち関西人にはちょっと聞き取りにくかった。でもこれにはまだ続きが...。
林家こぶ平「四段目」 林家こぶ平
確かに本日一番、ある意味期待していた人物。
「コイツに落語が出来るのか?」
私も一般テレビ視聴者の一人です。テレビの前でこぶ平に向かって「おもんない。才能無い。」と罵声を浴びかけておりました。

これまでの数々の非礼をどうか、お許しください。こぶ様。
今日からあなたをこぶ様と呼んでいいですか?
いえ、呼ばさせてください。こぶ様ぁ〜。

登場していきなり客席から「こぶちゃん!」と声がかかったりして、「なんか、(気軽に)言わないでいただけますでしょうかぁ。」と弱々しく遠慮がちに言う。完全にキャラ確立のこぶ様。こんな掛け声があがったのは、こぶ様だけ。侮れへんわ。

で、ほんまにおもしろかってん。落語自体が。ちょっと小憎たらしい、っていうのかしら?
落語の内容が「芝居好きの小僧が仕事をサボって芝居を観ていて、それを怒った旦那に、お仕置きとして店の蔵に閉じ込められる。」話なんですが、その小僧の憎たらしさ、こぶ様にしか表現できないのではないでしょうか?「おまんま食べさせてくらさぁーい、旦那様ぁ〜。」蔵から叫ぶ小僧。憎たらしいぃ〜。

この「四段目」とは芝居の四段目のことらしく、その芝居とはもちろん歌舞伎。仮名手本忠臣蔵で塩谷判官が切腹するシーンが五段目だそうで、蔵の中でお腹ペコペコでどうしようもない小僧が、気を紛らわすためにその五段目を再現するのね。こぶ様、この再現もうまいのよ、これが。歌舞伎も観たくなったね。あ、しかしオチを忘れてしまったな。Fさん、ノブりん、なんでした?

*こぶ様一口メモ*
『ワハハ本舗』起ち上げメンバーだったそう。

春風亭小朝「芝浜」 春風亭小朝
素人の私たちが観ても「一番うまい!」とわかる落語でした。
年間250回ほどの高座をこなしているそうです。すごいな。
落語ってうまければうまいほど、笑うだけじゃなくて、ちょっと、感動したりするんやね。
さすがプリンス小朝。さすがフェロモン小朝。

実はFさんにいたっては始まる前、嫌いやってんて、小朝のこと。何かすかしてるって。御意。 そして私の予想では小朝の、決して男前でないのに金髪なところ、もFさんの美意識に適っていなかったのだと思う。
でも終わってから「すごいわ、小朝。噺家ってすごいわ。」と小朝評価アップアップ。

小朝のときだけ、登場前にライトが落ちたんですね。
たぶん落語の内容に合わせてだと思うのですが。またそれがカッコええというか。
そしてこれまたFさんの美意識にかなったようでしたが、噺家さんは本題に入る前やココ!っていうときに着物の一番上のやつ、羽織?をパッと、脱ぎ放つんですね。それが小朝が最も、様になっていたと。
私は全員同じに見えた。Fさんの着眼点にはいつも、頭が下がります。

仕事をしないでお酒ばっかり飲んでいる男が、久しぶりに出かけた仕事先で五十両の入った財布を拾い、急いで家に帰る。そして奥さんに報告。近所の皆を集めてドンチャン騒ぎをしようと提案。すでに働く気など失せています。で、その後一旦寝てしまうのですが、目が覚めた後に「財布を拾う夢を見ていたんだよ。これからはコツコツ働いて欲しい。」と奥さんに"だまされて"、それから改心してお酒を止めて、一生懸命働いて財をなすという話。
ある大晦日の夜に奥さんは財布を出してきて、"実はあれは夢じゃなかった"と告白します。思う存分お酒を飲んで頂戴とお酒を注ぐ奥さんに「いや、また夢になるといけねぇから。」と、これがオチ。

なんてすばらしい奥さん。こんな奥さんにならんとアカンね。
先にも書きましたが、落語というよりドラマを観ている感覚でした。ちょっと涙ぐみましたし。
前説のときには腸カメラの話、まあいわゆる下ネタなんかで大爆笑をとっていた小朝が、 本題に入ると客席を完全に引き込んで圧倒している。あの緊張感はライブならではでしょう。
ほんと一度、生で観てください。

春風亭昇太「権助魚」 春風亭昇太
終始漫談風であったことは否めませんが、それでもやはりやはり大爆笑をかっさらっていた。一番笑ったよ。
とにかく顔がいいじゃないですか、この人。メガネもいい。エンジ色の着物で登場でしたが、メガネもエンジっぽい色で合わせていました。笑瓶と一緒やんか。まずメガネありき、みたいな。

本題に入るまえの小話・前説とでもいうのでしょうか、それを「まくらをふる」というらしいですが、それは昇太の話が一番面白かった。まぁ、漫談やからやね。身振り手振りがすごい大きいのね。表情も豊かやし。

本題に入っても身振り手振りは大きかったかな。
そうそう!勢いよく後ろを振り返るシーンがあって、そこでこの人、後ろを振り向いた瞬間にメガネを飛ばしたんです!一直線に斜め後ろに飛んでいったメガネ。本日一番の大爆笑でした。
天然?計算?計算天然?

権助はちょっと天然ボケの丁稚さんで、ご主人の浮気のアリバイ作りに加担させられるのですが、「商談が盛り上がって釣りに出かけたってことにしておいてくれ。帰りに魚屋で網取り魚を買って、旦那様がお釣りになった魚だと伝えてくれ。」ってまぁそんな話になるんです。
権助は山村部の出身で海を知らないんですね。だから魚を知らなくって、魚屋で「網取り魚をください。」と、魚屋さんは「ここにあるのはほとんど、網で取れた魚だよ。」ってなことになって、結局めざしやゆでダコやかまぼこまで買ってしまうんですね。ま、それで奥さんにはバレバレで、権助困惑、てなオチです。

ここまで四席みて思ったのですが、皆さん、ご自分のキャラに合った落語をしてらっしゃる。
昇太の演じるちょっと舌ったらずな、表現は適当ではないけれどバカな丁稚である権助は、かなり愛すべき存在に映るし、これを鶴瓶が演じていたら、ちょっと違う気がしたと思います。だって鶴瓶、悪役キャラ。
立川志の輔「千両みかん」 立川志の輔
開口一番、「昇太さんの"漫談"でお楽しみいただいたところで...。」
会場ドッ!と沸く。

本日の六人の中で一番好きです、志の輔さん。
ぺヤングソース焼きそば!ためしてガッテン!
六人の中で一番好きな顔やわ。男前やわ。

私は気づかへんかったんやけど、「顔が白い。」ってノブりんとFさんが言っていました。「テレビで見るのと違う。顔がすごい白い。なんで?」
そうかなー?いつもどおりのちょっと日焼けした感じでものすご男前やったやんか。

この「千両みかん」、バクっと言えば夏にみかんを食べたいと言い出したアホ息子のために(ほら、昔はハウスみかんとかないやんか。)、ご主人がみかん一個を千両で買う話なんですが、オチがね、みかんを探し回らされた番頭さんが、そのあまりの法外さとバカバカしさとその他もろもろで、トンズラしてしまうんです。
落語のオチはダジャレだけかと思っていたので、こんなオチもあるんやなって勉強になりました。

私の中で志の輔さんは、ちょっとエッチな雰囲気がしてとっても好きなんですが、落語もそんな内容のをしてもらいたかったな。今回の落語をする志の輔さんはなんだか至って真面目な感じで、ちょっと物足りなかったわん。お気づきでしょうが、志の輔だけ"さん"づけ。
笑福亭鶴瓶「子は鎹」 笑福亭鶴瓶
花緑さんの江戸弁が聞き取りにくかったのですが、鶴瓶の上方落語の方がもっと聞き取りにくかった!なんで!
カツゼツ悪いからか?鶴瓶。ま、それが味っていう人もいはるみたいやけど。
『夫婦善哉』とかに出てくるような大阪弁って、私なんかは聞き慣れていないので特にかもしれませんが。

落語をする鶴瓶を初めて観ました。鶴瓶はドラマなどでの演技がものすごくうまいので、落語もうまくて当たり前なことが、やっとわかりました。落語も演じるのに変わりないでしょ?本名:駿河学、やはり天才であります。

前説では、いつもの鶴瓶節で自身のお母さんのお話など。でも「ガーァッ!」とか「ダーァッ!」とか「バーァッ!」とか擬音は少なかった。何々?今日はやっぱりテレビとは違うの?鶴瓶。
小朝に「ちゃんと落語をやるように。」って誘われたのがきっかけなんやって。

「子は鎹」は、嫌いで別れたわけではない元夫婦が、かわいい一人息子のおかげで復縁する話ですが、これも小朝の「芝浜」同様、聞かせる落語でした。あまり笑いポイントはなかったけれど、「どうなるん?どうなるん?」って客を引き込む話でした。鶴瓶がじっくり腰をすえて話すのなんてほんま、テレビじゃ見られへんやんか。去年の27時間テレビでチ○出しをした人と同一人物とは、先日の27時間テレビで徹のパンツをはかされてウォーターボーイズをしていた人と同一人物とは、とても思えない、噺家さんそのものでした。
貴重な体験をしたと思います。ありがとう、鶴瓶。
帰りの南座大爆笑の二時間ちょっと、あっという間に過ぎ去ってしまいました。
落語ってカーテンコールとかないのね。終わったらそれで終わり。なんだかちょっと物足りない感じがして、後ろ髪引かれる思いで南座をあとにしました。
あー、本当に楽しかった!夜の南座、美しいです。

今回で完全に、落語にはまってしまった私たちです。特に私は、日本の古典芸能全般に興味が出てきました。次に観たいのは歌舞伎。何が何でも歌舞伎。Fさんは海老蔵が観たいって言うてはりました。私は...中村吉衛門かなー?やっぱり。
で、その後に狂言を観に行きたい。これはどう考えても野村萬斎やね。
あとは寄席に行ってみたい。浅草ロック座とか、今もあるのですか?あ、これは寄席じゃないよね?でも行ってみたいわ〜。
関西には寄席あるのかなー?無いんじゃないのかな。先日新聞に「桂ざこばら、寄席復活に尽力」って載ってたしな。そうそう、次に観たい噺家さんは、これもどう考えても桂南光です。べかこ。
うちのパピー曰く、上方落語界を背負う男だから。間違いないわ。

皆様も来る芸術の秋、どっかの番組じゃないですけれど「ニッポンを知ろう。」ということで、
落語および古典芸能に触れてみられてはいかがでしょうか?

文:きみ天
写真:F.Mie
(September 2004)