嗚呼、狂乱のフードコート
みなさん、フードコートはご存じだろうか。大型のスーパーなどには必ずある、ファーストフード店舗が集まった広場で、少々子供が泣いてもあまり目立たないためか、子連れ客が多い。フタゴーズが生まれる前は、フードコートなんて近づきもしなかった。というのも、だいたい金髪のヤンママが、同じく金髪でえり足ゲソカットの息子(3歳児ぐらい)を連れて喫煙しているなんていう場面が多く、子供抜きではあまり立ち寄る必要もないっつーか、怖くて行きたくないっつーか。
しかし、フタゴーズが生まれてからは、その便利さ故、よく利用している。疲れ切って夕食を作りたくないとき、家で作った食事をなかなか食べないので環境を変えたいときなど、とても助かる。それをサブちゃんに話すと、是非一度行ってみたい、おとうちゃんも、そのフードなんとやらでたこ焼きを食いたいと言うのだ。
ということで、本日ミッションインポッシブル@フードコートを決行してきた。
車のなかですでにテンション高いサブヨー。「おとうちゃん、たこ焼きにしようかな、うどんにしようかな。冷たいうどんもええけど、暖かいうどんもええな」と、まさにどうでもええことをずっと考えている。よう子隊員は、「おかあさんは冷たいうどんがええわ。冷たいうどんで温泉卵が乗っているのがいいわあ。でもおかあさん、なにせ初めての経験だから、りこちゃん、注文おねがいね」と、こっちはこっちでマリー・アントワネットだ。
立体駐車場に到着。思いっきり逆走するサブに肝を冷やしながら、一番入り口に近い場所を指示、車を停めてもらい、フタゴーズをカートに乗せた。
なんとかかんとか、ふたごと老人2名を誘導してフードコートに到着。勝手がわからないサブヨーに動かれると苦労するのは目に見えていたので、「おとうさん、おかあさん。ここにふたごと座っていてください。私が注文もするし、食べ物も全部運びますからね。とにかく動かないでくださいよ!」と言い残し、まずはうどん屋へ。
さっそくサブちゃんの山菜うどん、よう子隊員のぶっかけうどん、フタゴーズのかけうどんを注文したが、「今から茹でますので、8分ほどかかります。このベルをお持ちください」と、小さなマシン(ビーパー)を渡された。さて、その時だ。
おとうちゃんがうどん持っていくでえ!
と、後ろから大声がする。振り返るとサブだ。着席していろと言ったのに、1分も待てずに席を立ったのかこのジジイ!!と、むかっときたが、「おとうさん、8分かかるので、待たないといけないんです」と伝える。すると、「じゃあ、おとうちゃんがここで待ってるから」と、私に気をつかっているんだろう、どうしてもその場を動かない。しょうがないので、ビーパーを手渡して、「じゃあ、この機械が鳴ったらカウンターにうどんを取りに行ってくださいね。ちゃんと聞いといて、待っててくださいよ」と言い残し、一旦席に戻る。
よう子隊員が、「リコちゃん、ふたごにジュースを買ってきてくれない?」と言うので、今度はロッテリアに向かい、オレンジジュースとフタゴーズの好物のフライドポテトを注文する。「ポテトは今から揚げますので、4分ほどよろしいでしょうか?」と言われ、一瞬迷ったが、「はい、いいです」と、またもやビーパーを渡される。
なんだかめんどくさいことばかりで暗い気分になりながら、うどん屋の方向をふと見ると、なんと立たされているはずのサブがいない。うどん屋の前で起立を命じられているサブのやつ、一体どこ行ったんだ!!と憤慨していると、なんとたこ焼き屋の前にいるではないか!!何やってんだじいさんは!
どうもたこ焼きを買っているうようなのだが、ものすごく不安だ。一体、どれぐらい買うつもりなのか。やつのことだ、二皿ぐらい買っちゃうんじゃないだろうか。うどんもあるし、ポテトもあるしなあ、たこ焼きなんていらないのに。もう、なんで待てないんだろう、あの人は・・・と、ため息をつきながら、ふたたび席に戻る。
私はおなかがすいていなかったので、とりあえずコーヒーを飲みたかった。よう子隊員に、「おかあさん、私、コーヒー買ってきますから、この機械、ここに置いておきますね。たぶん、3分ぐらいしたら鳴りますから、目の前のロッテリアに行って、ポテトもらってください」と伝え、今度はミスタードーナツへ向かった。「ちゃんと見ててくださいよ。鳴りますからね」
はあ、なんでこんなに大変やねん、フードコートに来るだけで。ミスタードーナツで考える。ああ、なんでこうなんだ、いつも。ミスタードーナツで考えに考える。すいません、ええと、コーヒーください、ええ、ホットでお願いします・・・と、ため息まじりに言う私の耳に、きましたよ、激しいビープ音が聞こえましたよ!よう子に渡したロッテリアのビーパーですよ!
ビービービビー!!
と、すんごい音で鳴ってるのに、全然気づかないよう子隊員!おーい!鳴ってる鳴ってる、ポテトポテト!!と大いに焦っていると、私の視界に、たこ焼きをアホほど購入したサブの姿が目に入った。12コ入りを5つだ!アホか!60個も誰が食べるねん! ロッテリアのおねえちゃんが、よう子の方角を見ている。手元のボタンを押して、よう子隊員の目の前に置かれているビーパーを、再び鳴らす。無視するよう子隊員。
ああ、何してんのよ、鳴ってるじゃん!!コーヒーをトレイに乗せて大急ぎで席に戻ると、テーブルはサブが運んだたこ焼きの山でめいっぱいになっている。ビーパーは鳴りっぱなし。ひっつかんで、小走りにロッテリアに向かう。「ごめんなさいね~」と声かけて、ポテトのLを受け取り、はあはあ言いながら席に運ぶ。息が止まりそうだ。いや、息の根を止めたい。そして、はっと再び気づいた。サブがいない!
うどん屋の方角を見ると、うどんの乗ったトレイを持つサブを、店員が必死に止めている。サブ、ほかのお客さんのうどんを強奪しようとしたみたいだ!つか、あれだけ言い聞かせたビーパーが鳴ってないんじゃないか。鳴ってないハズなのに、なぜなんだサブ!?
バカバカ!このオオバカ野郎!!
どうゆうことよ、どうゆうことよ!?うどんを強奪されそうになったヤンキーが、激しくサブを睨んでいる。嫌だ、もう嫌だ。
あれだけ、機械が鳴ったらって言ったのに!!恥ずかしそうに席に戻ってきたサブちゃんに、よう子隊員、「おとうさん、恥ずかしい!機械が鳴ってないじゃないの」なんて言うが、自分は鳴っていても無視したくせにな。何よ、一体なんなのよ!!アタシは誰よ、なんでこんな仕打ちを!? 半泣きになったそのとき聞こえたの、こんな台詞が。
・・・・・・「おかあさんもコーヒー飲みたいわあ」
え?
我が耳を疑ったが、よう子隊員、今度は2杯目のコーヒーを買ってこいと私に言っているようだ。え、でもテーブル一杯じゃん!
「ああ飲みたいわあ・・・」
ええい、ちくしょう!行けばいいんだろ、行けば!!!と再びミスタードーナツのカウンターへ。「あの、コーヒーもうひとつ。ええそうです。暖かいやつね」と早口で注文していると、ギャー!!とフタゴーズ1号が泣く声がする。ああああああもうだめ、ダメダメダメ・・・
ビービービー!!!
あ!鳴ってる!うどんだサブ号、行け、うどん屋に!!!それ持って行け、うどん屋に!!
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ようやくすべての食べ物がそろった。オレンジジュース2杯、コーヒー2杯、ウーロン茶1杯、たこ焼き60個、うどん3杯、ポテトのL1個。テーブルの上に乗りきらないほどの食べ物。全部ジャンク。めまいがした。くらくらする。フタゴーズが席を立って走り回る。死にたい。もう死にたい。そこでよう子隊員が明るくこう言った。
おかあさん、やっぱり冷たいうどん、嫌やわあ。持って帰ろうかな?りこちゃん、おみやげ用の包みもらってきてくれる?
うどん汁と一緒に、オレの脳みそも耳から垂れてしまう予感が汁。



ブッシュ大統領のストーキングを趣味とする主婦。翻訳の仕事をしています。

マンモス稲子

東京在住の喰い倒れ会社員えとこによる、旨いもの探しと喰ったり呑んだり作ったりの日々。

ハンコ職人&似顔絵コラムニスト・錦小路ナンシーの、理由なきハンコと理由なき反抗(?)の日々を綴ります。

きみ天

京都在住。猫二匹と暮らすひもの女。趣味はのんびり。禁酒宣言中!

私=Yさん=Yみち
コメント(3)
お気の毒に・・・。
話として聞く側は面白いけど(ごめんなさいっ!)、その渦中の人である方は本当に大変でしょうね。
ラッコってかわいいけど、自分で飼うとなるとものすごーく大変で、普通は無理・・っていう記事を読んだのを思い出しました。義理のご両親は動物園の動物並み・・(以下、自粛)
初めましてですが、いつも楽しく拝見しておりました。
えーと、これはホントに素なんでしょうか?
サブヨー、本気で素ですか?
ここに自分たちのことが書かれてることを知ってしまって、あえて知らないフリをして仕返ししてるとかではなく?
・・・ありえない。。。
りこさんがかわいそうすぎます(TДT)
酷すぎる。。。 orz
あまりに面白いので昨日と今日と二度読みしました。
明日お茶とお菓子用意して三度目読みたいと思います。
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